浪速人情紙風船団
第6回公演
ええお湯だっせ
― 昭和14年藝人引抜大合戦―
2006年6月21日(水)
〜24日(土)
全7回公演
ワッハホール
今回で4度目の出演になる「浪花人情
紙風船団」の舞台は、
昭和14年、 日中戦争まっただ中の
京都嵐山の老舗旅館。
洋さんは淡紅色の着物を慣れた感じ
で着こなし、京都弁でかいがいしくも
テキパキと采配をふるう若女将。
実際にあった芸人引抜き事件をベース
に当時の人気芸人を思わせる出演者たち
が大金を巡って右往左往。
賑やかに、面白く、同時にしんみり
させる舞台でした。
●東京キネマより密命を受け、大金と
計略を胸に大部屋俳優の“宙師匠”
(楠年明)が 昔馴染みの女優から
女将になった“お貴代”(洋あおい)
の旅館にやってきます。
やがてターゲットの人気芸人が集め
られ、ようやく引抜き成功かと思わ
れた時、計略に気づいた大阪の
興行会社、藤山の女社長“いせ”
(紅萬子)がそうはさせじと
乗りこんできます。
必死に契約金を隠す芸人相手に、
ほめたり、すかしたり、
一芝居うったりと……笑わせます。
女社長に取りこまれそうになるが、
お貴代のしたたかな応酬に1度は
水入りに、がしかし、さすが
「大阪の女太閤」と呼ばれた女社長
の最後の手段、脅しと巧妙な条件に
芸人たちはなんとか元の鞘に収まる事
に……
●奮闘むなしく、宙師匠とお貴代は
全面降伏のありさま。
●洋さんは、レ・ビューで見せる着流し
ではなく、襟を粋に抜き、かいがい
しい 老舗旅館の女将の風情、良く
お似合いでとてもお綺麗でした。
愛想良くはんなり とした 京都弁に、
時折の若旦那へのきつ〜いお言葉。
若女将の立場を得たも、宙師匠と
ベタベタするのもなにやら打算的?
したたかな女を明るく気持良く演じ
ておられました。
芸人争奪に負けた時、大阪の女太閤、
いせに潔く負け宣言と思いきや、
堂々の新たな挑戦、
「私も京都の女太閤と呼ばれとぅおす」
と自分の夢を活き活きと語るお貴代に
ワッハの舞台が狭く感じました。
●これは東京キネマの宙師匠と大阪の
女社長いせの間の芸人争奪戦の芝居
だが、頼りない男たちに比べ、
活き活きとした女たちのドラマでも
ある。
女であること を捨て去り、興行の
世界で必死に生きる女社長いせ。
望んで苦労を背負込む美人浪曲師。
(沙月 梨乃)
わき目も振らず芸人になること
だけを夢見る少女。
男を土台にしても頭をもたげよう
とする洋さん演じるお貴代。
エンディングに朗々と響く、
♪命短し、恋せよ、乙女…♪の
「ゴンドラの唄」の
哀調を帯びた旋律は こんな女たちへ
の応援歌に聞こえてくる。
また、人々の泣き笑いが間もなく
始まる大戦で壊されていくことを
思うとあまりに切ない幕切れ
であった。
back (2006 公演)